第32進海丸 追加感想

またもやネタばれですので、ご注意を!

今回の健ちゃんの舞台に立った存在感などが、『卒業』の時と格段に違いまして、HUDのシナリオブックでスタッフさんのコメントの中に、2年足らずでこんなにかわるのか?とありましたが、これは舞台でも同じだったようで、この舞台にたどり着くまでに健ちゃんが沢山の経験をする事でとても大きくなったのだなと改めて思いました。例えば台詞のない場面でも、表情や仕草なんかがとても細かく演技されていて、いるだけでサトルの存在を感じる事が出来ましたし、台詞もとても聞きやすかった。土佐弁の特長として荒々しい言い回しなのに、聞き取りにくい部分が少なく、まさに共演者の台詞を受け止めてサトルとして返す、そんな感覚が素人でもわかりました。

共演者の方が演技している人と芝居するのではなく、その役本人と芝居しているようだといった感じのコメントをされていましたが、本当に出演している全員が本当にその人間になっていて、最後にヒロシ役の伊崎くんと健ちゃん演じるサトルが舞台上2人きりになって、カツオ釣りのやり方をヒロシが教えてあげるのですが、本当に兄弟みたいでした◎


裕太演じるイサオとの対決があるのですが、そこだけが暗転を挟んで対決の場面場面を区切っていて、それがまたテンポが良く見えました。腕立て伏せ・腹筋・腕相撲・綱引きこんなに挑戦したけど、昔バカにしていたイサオに敵わなかったんだよって見せてくれた感じで。で、その時イサオが1回1回筋肉見せ付けて(笑)そんなイサオも万年下働きとバカにしていたヒロシの餌投げの才能を坂本さんに思い知らせれて、結局イサオもみんなまだまだなんだというのを坂本さんが教えてって、みんな一夜の出来事の中で成長していくというのが隅々のキャラクターまで行き届いていて、それも見ていて好感の持てるところだったのだと思いました。

難しい題材でなく、親・兄弟との絆や、人の成長。そんなストレートな題材だからこそ、2時間強の芝居の流れを止める事なく、観劇させてくれた脚本と演出には本当に驚きです。健ちゃんがこのカンパニーでやるのは再演などがなければ二度と出来ないから、1回1回大切に演じたいと言っていましたが、それが存分に伝わったそんな舞台だと改めて思いました。